江戸の昔、尾張藩の武士の間では、内職として鶏を飼うことが広く行われていました。
明治維新で禄を失った尾張藩士は、養鶏を本業とするものが多く出て
「名古屋のサムライ養鶏」として有名でした。
そうした中、尾張藩士の海部荘平・正秀の兄弟は、
たゆまぬ努力の末当時の中国から入手したバフコーチンと地鶏との
交配種を改良した新種を作り上げました。当時「海部鶏」と呼ばれたこの鶏は、
全国に味のよさが評判となりいつの間にか名古屋から来た鶏ということで
「名古屋コーチン」と呼ばれるようになったのでした。
オスもメスも確かな名古屋コーチンの親鶏から生まれたヒナが名古屋コーチンです。
純系と呼べるのは、愛知県畜産総合センター種鶏場で管理し、育成された種鶏の
産む卵を愛知県が指定する孵化場で孵化させ、選定されたヒナを名古屋コーチン
普及協会の会員の農場(名古屋周辺地域内)で育った鶏を純系名古屋コーチン
としております。
地鶏とは、国内産に限定し、両親または片親が在来種(コーチンや比内鶏など約40種)、
つまり日本種の血統が50%以上入っているものです。日本3大地鶏と呼ばれるのは、
愛知の名古屋コーチン、秋田の比内地鶏、鹿児島の薩摩軍鶏ですが、
コーチン以外の2種は天然記念物指定ということもあり、薩摩軍鶏は
白色プリマスロック種と、比内地鶏はロードアイランドレッド種とそれぞれ交雑種として
多くが販売されています。それに比べると「純系名古屋コーチン」は100%純血。
味もさることながら王様といわれる所以です。